2017年に『産婦人科 診療ガイドライン 婦人科外来編』の中で、「男性不妊症の原因検索は泌尿器科医と連携して行うことが勧められる。」という回答が追記されました。
それまでは生殖医療指導医(産婦人科医)が治療にあたり、漢方やサプリメントなどの薬物療法が中心でしたが、精索静脈瘤が全体の25〜30%に見られたことで手術を必要とし、2017年に泌尿器科との連携を図った形になります。

そんな中で日本生殖医学会の認定生殖医療専門医は、産婦人科医が779人なのに対して、泌尿器医は68人しかいません。(2020年4月1日現在)

不妊と言えば女性の問題と捉えがちです。実際、長年不妊に悩んでいて女性側が何度検査をしても原因が見つからず、男性側が重い腰をあげて検査をしたら男性不妊が見つかったという話は珍しくありません。男性のプライドが検査すること自体を拒絶して不妊原因の発覚が遅れるのです。

本来であれば医師側からの半強制的なアプローチで男性側を検査するべきだと思いますが、産婦人科医も近年になってやっと男性不妊の多さを実感したことでしょう。
もし男性不妊に気付いていたとしても泌尿器科の生殖医療専門医はごく少数なので積極的に医師間連携をしていないと交流すらありません。

男性不妊は、学術論文も少なく改善処置方法が限られます。
精液検査で精液所見が悪くても、生活改善とサプリメントや漢方の提案ぐらいしかできていません。男性不妊はまだまだ解明されていないことが多いのです。

参考資料
→ 日本生殖医学会 認定生殖医療専門医
→ 産婦人科 診療ガイドライン ―婦人科外来編2017(P.213)
→ 産婦人科 診療ガイドライン ―婦人科外来編2014(P.153)