2015年に発表された「我が国における男性不妊に対する検査・治療に関する調査研究」によると、男性不妊とは以下の4つに大別されます。
① 造精機能障害(82.4%)
② 性機能障害(13.5%)
③ 閉塞性精路障害(3.9%)
④ その他(0.2%)
その中で最も有名な疾患は、① 造精機能障害に含まれる「精索静脈瘤」で全体の30.2%を占めます。
精索静脈瘤とは一般男性の10〜15%にも認められる疾患で、精巣付近の静脈の血流が滞ったり逆流することで精巣の温度上昇を招き、精液所見を悪化やライディッヒ細胞(テストステロンをつくる細胞)の低下を招きます。
精索静脈瘤は手術をすることで約半数は精液所見が改善します。
そして最も多い疾患は① 造精機能障害に含まれる「突発性造成機能障害」で全体の42.1%を占めます。
「突発性」とは突発的に男性不妊になっている。つまり「原因不明」ということになります。
サプリメントや漢方で改善するかもしれませんし、生活習慣を変えることで改善するかもしれません。原因は老化なのか、喫煙なのか、精巣を温めるすぎているのかもしれません。また、それら全てに当てはまらない突発性の人もいます。
とにかく、医師としても精巣にメスを入れて調べることもできず、精子の形成に90日かかるので、その過程でどんな原因があるのか分からないのです。
不妊の半分が男性原因で、その男性の4割が原因不明となれば、不妊治療の成功率が低いことも頷けます。
参考資料
→ 我が国における男性不妊に対する検査・治療に関する調査研究(P.3)
→ Increase in scrotal temperature in laptop computer users
→ Impact of diurnal scrotal temperature on semen quality
→ Semen quality pattern and age threshold: a retrospective cross-sectional study of 71,623 infertile men in China, between 2011 and 2017